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高森明勅
2023.1.20 08:00皇室

新年恒例の宮中「歌会始」の入選・佳作の和歌のいくつか

去る1月18日、新年恒例の歌会始が行われた。今年のお題(勅題)は「友」。
天皇陛下の御製(ぎょせい)は
「人々に早く日常生活が戻ることを願われるお気持ちを
お詠みになったもの」(宮内庁解説)で、なかなか意味深長。

敬宮殿下のお歌は、歌意に淡い哀しみを感じさせる一方、
調べの整いぶりは上皇后陛下に通じるのではないか。

もみぢ葉の
散り敷く道を
歩みきて
浮かぶ横顔
友との家路

今年は入選・佳作の歌からいくつか紹介する。

温もりの
残る手袋
渡されて
君は友より
夫(おっと)となりぬ
(岡山県、藤井正子氏)

卒論は
梶井だつたね
君だけが
四十二(しじゅうに)歳の
ままなる友よ
(熊本県、三浦清美氏)
※歌中の「梶井」は『檸檬』で日本文学史上に名前をとどめた梶井基次郎だろう。念のため。

友といふ
言葉を知らぬ
一歳が
泣いてゐる子の
頭を撫(な)でる
(京都府、丹羽紗矢香氏)

遠足で
見せびらかした
玉子焼き
寂しく笑つた
友よごめんね
(福岡県、野瀬雅子氏)

シャガールに
惹(ひ)かれしころを
語らへば
妻は友へと
しばし返りぬ
(山形県、三浦大三氏)

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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